第53回日本マススクリーニング学会学術集会
会長 窪田 満
(国立成育医療研究センター総合診療部)
第53回日本マススクリーニング学会学術集会を、2026年(令和8年)9月18日(金)および19日(土)の両日に、川崎市の川崎市コンベンションホールで開催いたします。最寄りの駅は武蔵小杉駅となります。私は川崎市とは縁はないのですが、勤務先の国立成育医療研究センターのある世田谷区から見ますと、多摩川を挟んで向かい側にあります。以前、この会場で行われた別の学会をお手伝いしたときに、「ああ、武蔵小杉っていい街だな」と思い、心に残っていました。
さて、今回の学会のテーマを「私を見つけて〜あかちゃんのこえが聞こえますか」にさせていただきました。先人の努力により、日本は新生児マススクリーニングの先進国であり、その質も悉皆性も、世界のトップレベルです。こども家庭庁が創設されてからは、国の重要な施策の一つとして新生児マススクリーニングが捉えられるようになってきています。
ただ、患者さんが主語になっているか、時々考えてしまいます。確かに、新生児マススクリーニングは、本学会の会員の皆様の不断の努力の中で前に進んできました。しかし、時に、自分たちが主語になっているように感じることがあります。「私は〇〇病をスクリーニングで見つけることができる、今までの方法よりも優れた新しい方法を見つけました。」学術的には素晴らしいことだと思います。ただ、患者さんの視点からすれば、その方法が研究発表で終わらずに実装してもらうことに何よりも期待したいし、実装可能かがまずは大切ですし、一方で、残念ながら今まで見つけてもらえなかった患者さんたちの思いも汲み取る必要があると思います。
新生児マススクリーニングは単なるサイエンスではないのです。通常のサイエンスよりも、患者である「あかちゃん」の幸せに直結する必要があるのです。そのために、専門医、技術者、研究者(疫学を含む)だけではなく、看護師さん、保健師さん、周産期医療に関係する皆様、地方行政やこども家庭庁の皆様の協働が必要だと考えていますし、その皆さんが集うのが日本マススクリーニング学会だと思っています。
今一度、「あかちゃんのこえをきく」という原点に立ち戻り、「何のために新生児マススクリーニングを行うのか」を皆で考えたいと思います。そのために、特にこども家庭庁の先生をお呼びした特別講演や、地域の行政の皆さんによるシンポジウム、そして様々な職種の皆様による教育講演や一般演題を準備する予定です。また、子どもの閉じこもった心を開いて「声なき声」を聞いてきた、スペシャルな方の講演を準備させていただきたく思っています。
改めまして、皆さんをお迎えできることはこの上ない喜びです。多くの皆様の笑顔に満ちあふれた学術集会にしたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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